@phdthesis{oai:soka.repo.nii.ac.jp:00040746, author = {申, 惠蓮 and HYERYUN, SHIN}, month = {2022-03-30, 2022-03-30, 2022-03-30}, note = {オリゴデンドロサイト前駆細胞は、感覚経験によって細胞の増殖・分化が調整される。視覚剥奪依存的オリゴデンドロサイト前駆細胞の変化は、マウスの一次視覚野においては未だ明らかとされていない。本研究では、眼優位性臨界期の開始頃、即ち生後25日目の時期特異的にオリゴデンドロサイト前駆細胞の増殖能がピークとなり、尚、開眼開始(生後14~15日目)からの両眼球剥奪によって、一次視覚野の大脳皮質下層と皮質下白質において更なる増加が観られた。これらの結果を二つの章に分けて詳細に述べた。 生後25日目の健常マウスでは、細胞周期を通して分裂した娘細胞が対称的に分化へ進んだ。視覚剥奪では、対称的に細胞分裂した未分化性娘細胞が細胞周期のG1期に戻ったため増殖能が増加する一方、G0期に脱して分化へ進む細胞は減少した。これらの未分化性状態の亢進は、ソニックヘッジホッグ(Sonic hedgehog, Shh)シグナル経路の一部を媒介する可能性が挙げられた。その5日後(生後30日目)、未分化性オリゴデンドロサイト前駆細胞の殆んどは分化へ進み、僅かは更に分化が進み成熟細胞となった。視覚剥奪マウスでは、対称性モードの娘細胞が静止状態と分化状態が転換され、未分化性が維持された。やがて生後50日目の健常マウスでは、増殖細胞の殆んどが成熟オリゴデンドロサイトへ分化した。視覚剥奪マウスでは更なる成熟オリゴデンドロサイト数が見られ、それは主に対称的・非対称的に成熟細胞へ分化が増加したためであった。尚、増殖細胞に関わらず、全ての成熟細胞の分布や蛍光強度を検討すると、視覚剥奪によって更に細胞数が増加し、ミエリン形成の更なる増加も示唆された。 皮質下白質においては、第一章の結果のように生後25日目に、時期特異的に細胞の増殖能がピークと増加し、視覚剥奪による更なる増加が示された。この増加は、増殖細胞の対称性・非対称性に関わらず、未分化性を促進させたためであった。視神経切断による視覚剥奪では、視神経の軸索がたどり着く視覚視床において反応性アストロサイトやミクログリア・マクロファージが増加したが、一次視覚野では影響しなかった。即ち、視神経切断による炎症反応は視床でのみ生じ、視覚野の皮質・白質では神経回路の再編成よる未分化性増加が示唆された。増殖細胞はやがて成熟細胞へ分化し、増殖5日後(生後30日目)をピークとして増加し、視覚剥奪マウスでも同様であった。皮質の結果と異なり、視覚剥奪による成熟細胞の促進は影響しなかった。 本研究では、眼優位性臨界期開始頃、オリゴデンドロサイト前駆細胞の発達に重要な時期であると示唆され、やがて視覚剥奪による皮質内と白質で異なる発達・制御をもつ事が明らかとなった。視覚剥奪下、皮質下層では、生後25日目の時期特異的に増殖した細胞の未分化性維持はShhシグナル経路の一部を介して促進され、大脳視覚皮質の下層ではやがて成熟オリゴデンドロサイトへの分化を更に促進させた。白質では、生後25日目にも未分化性細胞が視覚剥奪によって増加する一方、成熟への促進は影響しなかった。従って、視覚剥奪すると神経回路の再編成が生じるが、それに伴う皮質内と白質においてオリゴデンドロサイト前駆細胞の発達時期・制御が異なる事が明かされた。この結果は、やがて神経回路再編成にオリゴデンドロサイトの発達が関与する事を示唆する。}, school = {創価大学}, title = {大脳視覚皮質におけるオリゴデンドロサイト前駆細胞の発達と視覚剥奪による影響}, year = {} }